活性酸素抑制に効果的なプロアントシアニジン

ブドウ種子ポリフェノールの目的・効果のアウトライン

 ブドウ種子ポリフェノールは抗酸化サプリメントで、主な成分はブドウ種子より抽出されたプロアントシアニジンです。その最大のねらいは活性酸素を抑制して人体への障害を予防することにあります。

 活性酸素を抑制する抗酸化サプリメント/薬品には、ビタミンA・C・Eやカテキン、コエンザイム-Q10、ルテイン、ブルーベリーエキス、アスタキサンチン、セサミン、リコピン、イソフラボンなど数え切れないほどありどれがよいのか選択に迷います。その中でプロアントシアニジンは全種類の活性酸素の中和だけでなく、酸化酵素阻害作用も合わせ持っています。更に重合度が高い(=分子量が大きい)ので多量の活性酸素を除去し、かつ活性酸素除去後の分子も安定しているので副次的な害作用がありません。その結果、最も信頼性の高いヒト対象試験でも次のような結果が得られています。

  • 皮膚色素沈着改善作用:肝斑(しみ)が薄くなる
  • 血液流動性向上作用:いわゆるサラサラな血液となる
  • 体内LDL酸化抑制作用:動脈硬化の元となる酸化LDLの発生を減らす
  • 筋肉疲労予防作用:激しい運動後の筋肉疲労が早く取れる

 他に動物実験では、動脈硬化抑制などさまざまな効果が確認されています。それに加えてフランスでは医薬品として静脈瘤、眼の網膜症、毛細血管障害の治療に用いられていますので、安全性・信頼性は大変高いといえます。

一日の標準摂取量はプロアントシアニジンとして100〜300mg(例えばさび止めPならば2〜6カプセル)です。

1.活性酸素とは

 それでは、ブドウ種子ポリフェノールが取り除こうしている活性酸素について概略を説明致しましょう。
 「酸素」という言葉は動物が生きてゆくのに必至なものとの響きがあり、最近話題になった斎藤 祐樹投手の使用した加圧酸素カプセルに見るように、酸素=良いものとのイメージがあります。確かに酸素そのものは我々の生存に必須なのですが、その酸素が分子構造を変化させると身体を錆びさせる厄介な存在となります。「活性」酸素だからといって我々を活性化する酸素という意味ではなく、むしろ体の錆を呼ぶ危険な酸素なのです。
 活性酸素といいますが、実は4種類の物質の総称が活性酸素なのです。その4種類の物質とは、スーパーオキサイドアニオンラジカル O2−、一重項酸素 O22−、過酸化水素 H2O2、ハイドロキシラジカル OH−です。このうち長時間安定して存在できるのは過酸化水素のみで、他の3種類の物質は数万分の1秒レベルの寿命しかなく、すぐに変化してしまいます。ですから、生体内の活性酸素の量を直接測定するのは極めて困難で、実際には活性酸素の代謝産物の量を測定して活性酸素量を推定します。
 活性酸素は呼吸に伴い呼吸量の約3%が常に発生しています。我々は日常的に非常に酸化力の強い活性酸素に晒されているのですが、その害が特に若いうちに目立たないのは活性酸素を処理する酵素を持っているからなのです。こうした酵素は3種類あり、それはスーパーオキサイド・デスムターゼ SOD、グルタチオン・ペルオキシダーゼ GSH-PX、カタラーゼの3つです。こうした酵素の活性が高い若いときは、ストレスや喫煙、激しい運動等活性酸素が大量に発生する活動を行っても速やかに処理され、活性酸素の害が顕在化しません。ところが、スーパーオキサイド・デスムターゼを主体として加齢と共にこうした酵素の活性が低下すると、以下に述べるように活性酸素の害が目立ってくるのです。

活性酸素による組織障害で重要なものは二つあります。

 その第一は動脈硬化促進作用です。近年判明した動脈硬化発生のメカニズムでは、血液中のLDLコレステロールが活性酸素により酸化され、酸化LDLコレステロールとなります。この酸化LDLコレステロールを血管壁に存在するマクロファージが貪食しますが、酸化LDLコレステロールの量が多すぎると貪食したマクロファージが血管壁内で壊死します。壊死したマクロファージが血管壁内で沈着蓄積した結果が動脈硬化症となるのです。従って、動脈硬化の出発点である活性酸素によるLDLコレステロール酸化を抑制すれば動脈硬化そのものを防ぐことが可能といえます。特にプロアントシアニジンは細胞膜(脂質)と細胞外液(水)の境界(界面)で最も集中して強く働きますので、細胞膜の酸化を極めて効率よく防ぐことができます。
 活性酸素による組織障害の第2点は、発癌の誘発です。癌はDNAが何らかの原因で傷ついて発癌遺伝子のスイッチが入ることにより発症するといわれています。発癌遺伝子のスイッチを入れるのは、紫外線やX線、ガンマ線などの電磁波や発癌物質など各種ありますが、いずれも活性酸素が関与しています。ですから、活性酸素を速やかに除去することはDNA損傷の頻度を減らし、結果的に発癌を抑制することが期待できます。

 以上活性酸素の害作用を主体に解説してきましたが、活性酸素には人体に必要な側面をあるのです。例えば細菌感染を起こしたとき、細菌を貪食処理する白血球である好中球は細胞内に持つ活性酸素で殺菌・分解します。ですから、ビタミンCなどを大量に摂取すると細菌感染にかかりやすくなるともいわれています。極端に活性酸素を抑制するのも間違っているのです。

2.他の抗酸化剤に対するプロアントシアニジンの優位性

 文頭でも述べたように、抗酸化剤と呼ばれるものにはビタミンA・C・Eを始めとしてカテキン、ルテイン、コエンザイムQ10など多数挙げられます。消費者としては、こうした抗酸化剤のどれを選べば的確に活性酸素を抑制できるか大いに悩めるところです。基礎研究によれば、抗酸化剤の基本的な働きには4つあるとされています。それは、@ラジカル消去作用(不活化する)、A一重項酸素処理能力(不活化する)、Bキレート作用(活性酸素を抱きかかえる)、C酸化酵素阻害(細胞を酸化させる酵素の働きを抑える)の4つです。プロアントシアニジンはこれら4つの全ての作用を持つ大変優れた抗酸化剤ですが、例えばビタミンCやコエンザイムQ10は@のみの、ビタミンEは@、Aのみ、というように作用が限定されているものが大部分です。

 また抗酸化力の強さにおいても、プロアントシアニジンは他の抗酸化剤の数倍から十数倍と非常に強力です。ここで「抗酸化力の強さ」という表現を使いましたが、抗酸化力の強さには3つの要素があります。

 その第一は、活性酸素を量的にどのくらい捕捉する=捕まえることができるかです。プロアントシアニジンはビタミンCの約10倍、カテキンやビタミンEの約3倍量の活性酸素を捕捉することができます。

 第二の要素は、抗酸化剤の働く場所の違いです。プロアントシアニジンは脂質と水分の境界面である細胞や脂肪表面で働きます。こうした境界面は細胞や脂質の酸化反応が起きる場所で、そこで活性酸素が消去されれば最も効率よく抗酸化作用が発揮できます。ビタミンCなどは量的に多い細胞外液中で活性酸素を消去しますので、かなり大量に摂取しないと活性酸素を有効に減らすことができません。また、脂溶性の抗酸化剤であるビタミンA・Eは細胞膜内で働きますので、細胞表面からの活性酸素進入後の処理となり細胞表面の酸化は抑制できません。

 第三の要素は、抗酸化剤が酸化反応のどの段階で抑制するかです。プロアントシアニジンは酸化反応の初期段階で発生するスーパーオキシドアニオンを抑制するのみならず、その後の反応で発生する過酸化水素やハイドロキシラジカルなども抑制してくれます。すなわち、プロアントシアニジンは酸化反応の全ての段階で働く極めて効率の良い抗酸化作用を持っているのです。

3.プロアントシアニジン有効性のエビデンス

 プロアントシアニジンの有効性を示すエビデンスが多数あります。そのうち最も信頼性のあるヒトを対象とした試験と、動物実験ではありますが長期的にはヒトに対する有用性が非常に高い試験も含めて以下にご紹介しましょう。

1)肝斑(しみ)改善作用

顔に肝斑(しみ)を有する男女26名(男性15名、女性11名、平均年齢59.2歳)に毎日プロアントシアニジン160mg(さび止めPでは約3カプセル)を6ヶ月間摂取させた。3ヶ月目から顔のしみが薄くなり、6ヶ月目では17/26人(65%)にしみの改善効果が確認された。他に肌のつや、肌のしっとり感、肌のはりも優位に改善された。

(FOOD Style 21 2002.12, Vol.6 No.12)

2)運動に伴う酸化ストレス予防作用

 男性成人12名のボランティアに有酸素運動を課し、事前と事後に血中過酸化脂質を測定した。更に、同一対象に2週間後からプロアントシアニジンを200mg(さび止めPでは4カプセル)を投与した後で、同じ有酸素運動を課し、同様に事前、事後の血液内過酸化脂質を測定した。結果は過酸化脂質の上昇率が投与前の約95%から投与後の約15%へと劇的に抑制された。

(第53回 日本体力医学会大会抄録 1998)

 この試験はプロアントシアニジンが運動に伴って必然的に発生する活性酸素の害を極めて有効に減らすことを示しています。

 この他に、「運動後の筋力低下予防作用」も報告されています。

(第53回 日本体力医学会大会 1998)

3)血液流動性の改善効果

 健常人10名のボランティア(年齢22歳〜59歳)の肘静脈から採血しマイクロチャンネルアレイを用いて血液流動性を測定した。採血直後にプロアントシアニジン200mg(さび止めPでは4カプセル)を服用し、2時間後に同様に測定した。その結果、平均通過速度(100mlの血液が通過するのに要する秒数)が服用前の41.7〜110.9秒/100mlから服用後の38.8〜52.8秒/100mlへと改善した。

(日本ヘモレオロジー学会誌、5(1)、2002)

この結果は、プロアントシアニジンの血栓予防効果を示唆するものといえます。

これを裏付けるように、「マウスでの血栓予防作用」が確認されています。

(Throbosis Res., 2004,115,115-121,2005)

4)血漿酸化抵抗性改善効果

 健常人6〜9名の群に分け、各群に400mgのグラニュー糖(コントロール)、プロアントシアニジン、ビタミンE、ビタミンCを毎日朝食後に摂取させた。3日ごと2週間後に採血し、CuSO4酸化による血漿酸化抵抗性を比較した。結果は、ビタミンE・Cの血漿酸化抵抗性改善効果に有意差が見られなかったのに対し、プロアントシアニジンでは有意に改善した。

(キッコーマン社内試験)

 この試験は、プロアントシアニジンが動脈硬化の引き金となるLDLコレステロール酸化を引き起こす血漿中での酸化作用を抑制する効果を持つことを示しています。

 血漿酸化抵抗性は動脈硬化抑制作用につながり、それを示唆する「ラットでの動脈硬化予防作用」が確認されています。

(Atherosclerosis,142,139-149,1999)

5)脂質代謝改善効果

 ヒトを対象とした試験で、プロアントシアニジン400mgを2週間摂取させ、前後の血清脂質を測定した。その結果、総コレステロール、中性脂肪、LDLコレステロールが有意に低下し、HDLコレステロールが有意に増加した。

(Iwasaki Y.et al, Food Style,21,7(12),57-62,2003)

 こうした脂質代謝改善効果は動脈硬化の抑制につながり、ひいては脳血管疾患や虚血性心疾患の予防効果が期待できます。

これを裏付ける動物実験結果としては、上記のラット動脈硬化予防作用の報告に加えて「マウス高血圧予防作用」の報告もあります。

(アメリカ、Experimental Biology学会、2003)

 脂質代謝改善効果の最も有名な例として「フレンチパラドックス」が挙げられます。乳脂肪等の動物性脂肪を多量に摂取している国々の中でフランスは例外的に脳血管疾患や心疾患が少ない事実があり、この事実をフレンチパラドックスと呼んでいます。その理由の最も有力なものがワイン、特に赤ワインの習慣的摂取が考えられています。研究の結果、赤ワイン中に多く含まれるプロアントシアニジンが有効成分と認められ、フランスでは静脈瘤などの血管疾患の治療薬として認可されています。

 この他に動物実験では、胃潰瘍予防作用、大腸ポリープ予防作用、皮膚癌予防作用、白内障予防作用、痴呆症予防作用、乳癌予防作用、肺癌転位予防作用、アレルギー予防作用など多数の効果が実証されています。

4.プロアントシアニジン摂取が勧められる場合

 以上のエビデンスや生化学的メカニズムからプロアントシアニジンは以下のような場合に摂取が勧められます。

1)肝斑(しみ)が気になっている人

 一日160mg(さび止めPで約3カプセル)という比較的少量摂取で裏付けのあるしみ改善効果が得られます。摂取されたプロアントシアニジンは表皮内でメラニン色素を生成する酵素チロシナーゼを阻害してメラニン色素を作らせなくします。またメラニンを作りだすメラニン細胞そのものの増殖を抑制します。つまり、体の中から美白効果を発揮させる「体内美白効果」持つのです。

2)動脈硬化が気になっている人

 活性酸素の説明でも述べたように、動脈硬化の直接的引き金となるのはLDLコレステロールの酸化です。プロアントシアニジンは脂質代謝の改善効果のみならず、ヒトで体内LDLコレステロールの酸化抑制作用も確認されています(キッコーマン社内試験)。すなわち、生理学的なメカニズムより動脈硬化の抑制効果が期待でき、マウスでは実証されています。ヒトでの動脈硬化抑制作用は大規模かつ長期間の実証試験が必要ですが、フランスでの動脈硬化性疾患(脳血管疾患、虚血性心疾患)の相対的低値、いわゆるフレンチパラドックスをみるとプロアントシアニジンの動脈硬化抑制作用はほぼ確実といえるでしょう。また、プロアントシアニジンはヒトでの血液流動性改善作用とマウスでの血栓予防作用が確認されているので脳梗塞や心筋梗塞など血栓性疾患の予防も期待できます。

3)運動による循環器系の副作用が気になる人

 筋肉運動は筋力低下予防に唯一効果が期待できる方法で、リハビリなどによる生活の質維持改善に必須のものです。しかし、有酸素運動を含めてある程度強い運動をすると活性酸素発生は必然で、むしろ運動の害を強調する研究者もおります。プロアントシアニジンは運動に伴って発生する活性酸素を速やかに消去して過酸化脂質を減らし、動脈硬化進行を抑制します。ですから、プロアントシアニジンを摂取しながら運動すれば動脈硬化を気にすることなくトレーニングをすることができます。また、運動後の疲労による筋力低下抑制作用もヒトで確認されていますので、激しい運動を好む人や競技選手の疲労回復促進にもお勧めです。

4)眼をよく使う人

 一日中パソコンの前に座って作業する人や、受験生など眼を酷使する人は眼内の光化学反応により活性酸素が大量に発生します。こうした眼内活性酸素を放置すると白内障や加齢性黄斑変性症の原因となり得ます。眼内で発生した活性酸素をプロアントシアニジンやアイガードなどに含まれるルテインで消去することはこうした障害を未然に防ぎ、自覚症状的には眼精疲労や肩こりの軽減が期待できます。裏付けとしてはマウスでの白内障予防作用が確認されています。

5)脳を酷使するストレスの多い人

 脳を酷使するストレスがかかっている人は、神経細胞体(ニューロン)が脳内で激しく活動しています。神経細胞が活動すると活動電位を発生し、神経細胞同士で情報のやりとりをしますがこのときに活性酸素が大量に生み出されます。こうした活性酸素をうち消すために脳内にはビタミンCやグルタミン酸などの抗酸化剤が大量に蓄積されているのですが、ストレスがかかって脳活動が活発になりすぎると処理が追いつきません。摂取したプロアントシアニジンは脳内にも分布し、過剰に発生した活性酸素をうち消すことが期待されます。人ではデーターがありませんが、ラットで認知症予防作用が確認されていますので脳へ分布することは間違いないと思われます。

6)タバコが止められない人

 いうまでもなくタバコの害の大部分はタールやベンツピレン、一酸化炭素などによる活性酸素が原因です。プロアントシアニジンは消化管や血液、皮膚などの他に肺にも分布して活性酸素を抑制してくれます。ヒト癌での試験はこれからの状態ですが、マウスでは癌の肺転移予防作用が確認されています(第124回日本薬学界年回、2004)

 ブドウ種子ポリフェノール(プロアントシアニジン)製品の中では、成分がカプセルに入っていて安定している有機能性食品「さび止めP」が推薦できます。この製品に関する詳しい情報は、製造メーカーの「株式会社東京生活医学研究所」までお問い合わせ下さい。

'06/12/9更新


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