お酒の上手な飲み方

1)飲酒限度量について

アルコール性の肝炎や肝硬変またアルコール依存症にならない飲酒量の限度はどのくらいなのでしょうか。一般的には、一日2合までなら限度以内と考えられていますが本当でしょうか。医学的な答えは、血液検査値からはγ-GTP(ガンマージーティピー)という値を見ていただきこれが40以下ならば今のところは飲酒による肝臓障害はないといえます。しかし、お酒を飲んで肝臓が心配だからといって飲酒のたびに血液検査をする気にはなりません。そこで自覚的な目安が必要となってくるのですが、私は飲んだ翌朝の感覚が最も大切だと思っています。飲まない時と同じ様に朝の目覚めが爽やかならば、前日の飲酒量は限度以内のよいお酒です。しかし、頭痛はもちろん食欲が今一つなどの影響が少しでも残っていたら限度を越えています。アルコール処理能力は非常に個人差があるのに、一律に一日2合までなら問題なしとはいえません。あくまで個人の検査値と感覚によるべきでしょう。
ところで、諸般の都合でつい飲みすぎてしまったときはどうすればよいでしょうか。その時は軽い二日酔いなら一日、重症の二日酔いなら二日休肝日を設けてください。急性アルコール性肝炎となった肝臓もお酒の負担がなくなれば速やかに回復してくれるたくましい臓器なのです。

2)いわゆるお酒のつまみについて

飲酒時にとるつまみについては、あまり意識せずにとっている人や、殆どつまみを食べずに飲んでいる人が多く見られます。酒のつまみは飲酒により傷んだ肝臓の回復の為の材料となり、またアルコール分解に伴って消耗するビタミンの補給、更にアルコールの吸収速度を落として肝臓への負担を平準化するなどの重要な働きがあります。
では、どのようなつまみが飲酒の影響を最小限にするでしょうか。それは一言でいえば、高蛋白・低脂肪の食事です。肝臓の修復に必要なバランスの取れた蛋白質を補給することと、ほとんど肝臓で分解処理される脂肪を控えて肝臓の負担を減らすことの両方の意味があります。具体例では、豆製品(豆腐、納豆、枝豆など)、魚介類(赤身のマグロ、白身の魚、貝類全般、イカ、蛸、海老など)、赤身の肉などで油であげていないものが好ましいでしょう。
また、新鮮な野菜もビタミン補給のためには必須ですが、生野菜のサラダはあまりお勧めできません。というのは、生野菜で保存されている期間が長いほどビタミンが消耗すること、調味料のドレッシングが脂肪と塩分過剰なもののこと、生の状態では嵩が大きく十分な量が取りにくいこと、などの欠点があるからです。ですから、野菜はできるだけ新鮮なうちにさっと煮るか、炒めるなどして取るのが上手なやり方です。蛋白質と野菜をバランス良く簡単に取れる代表的なメニューとして、鍋料理があげられます。夏でも鍋を囲んで一杯やりましょう!

3)飲酒と水分について

お酒も水分を含んでいるので飲酒している時に水分は取る必要はないのでしょうか。実は飲んでいるときは水分不足にはならないのですが、飲酒後しばらくすると水分は不足していくのです。それは、アルコールには利尿作用がありお酒として飲んだ水分以上にお小水として排出されるからです。結果として水分不足による脱水状態となり、夜中に喉が乾いて目が覚めることになります。これを防ぐには、就寝前に1.5〜2倍に薄めたスポーツドリンクを1~2杯とれば良いのです。ここで、なぜ水ではなくスポーツドリンかというと、糖分を含まない水を摂ると血液が急激に薄まりその刺激で排尿量が増えまた脱水が起こってしまうからです。更に夏期には水を吸収するために消化器が働いてしまい、,それが代謝を促進し、ただでさえ高い体温を更に上げて発汗を増やしてしまうからです。しばしば外で飲む人は、バタンキューと寝る前眼につくところ(例:寝室の入り口)に「飲んだら飲む!」と書いておきましょう。念のため申し添えておきますが、ここで飲むのは薄めたスポーツドリンクであり、帰ってからのお酒の飲み直しでないのは言うまでもありません。        


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