不眠の対策

<不眠対策のポイント>

私にも経験がありますが、眠らなければならないのに眠れない不眠という状態は何とも不愉快なものです。ひょっとして今これを読んでいるかもしれない貴方に、こうした眠れぬ夜を過ごさないための工夫をこれからお話いたしましょう。

1.人間は何時間眠らねばならないか?

よく一日八時間は眠らなくては疲労が回復しないと言われますが、本当でしょうか。睡眠に関係した生理学の専門書によれば、なんと一日40分しか眠らなくても支障のない人がいたそうで、本当に40分だったことは24時間の監視カメラでも実証されたそうです。ですから、一日8時間眠らなくては疲れがとれないとか能率が上がらないなどと云うことは実はないのです。しかし、現実にいつもの時間よりも睡眠不足となるとボーとしたり何となく気分が悪くなってきます。これは、相当程度に慣れが支配しているのですが、布団の中で暖かくして横になっていることで内蔵の血流量が増えたり、体温を維持するのに楽な状態が維持できますので体の疲れがとれやすい環境であることは確かです。逆に言えば、布団で横になることは体の疲れをとるためには必要でも、必ずしも眠る必然性はないということなのです。絶対に8時間眠らなくてはならない!という強迫観念にさいなまれるのはもうやめにした方がよいかもしれません。要は何時間の睡眠であろうと、朝起きた時に前日の疲れが取れていてさわやかに眼がさめれば十分と云うのが私の結論です。

2.不眠の対策

不眠の対策としては、大きく薬物による方法と生活習慣を見直す方法があります。薬物による方法はいわゆる睡眠薬ですが、こうした薬品は処方箋が必要でいずれかに医療機関を受診しなくてはならず、この欄の主旨ではないので省略します。
生活習慣を見直して不眠を改善する方法にはいくつかありますが。その中で私の経験上有効な手段をいくつか挙げます。

1)眠ろうと努力しない
眠りは、眠ろうと努力することで得られるものではありません。むしろ努力すればするほど意識レベルは上がりかえって眠れなくなるのは大抵の人が経験していることでしょう。上にも記したように8時間眠らなければ病気になるとか、極端に能率が落ちるなどの事実はありません。ですから、眠れないときは「身体が必要としていないのだ」と解釈して安心して起きていればよいわけです。ただ、日中消耗した身体の疲れをとることは健康上確かに必要でしょうから、いくら眠くならないからといって起きて激しい活動をすると翌日に差し支えます。ですから、眼がさえて色々と思い浮かぶようになったら、なるべく趣味など楽しいことを考えるようにしながら時間を過ごすといつの間にか眠っているものです。

2)夕方からカフェインの多く入った飲み物を取らない
皆さんご存じのようにカフェインは覚醒作用があり、寝つきを悪くします。ですから、カフェインの多く入った紅茶や緑茶、コーヒーなどを飲むと眠れなくなってしまいます。意外とカフェインが入っていることに気づかれていない飲み物に清涼飲料があります。コーラなどの炭酸飲料の多くが内容表示をみると「カフェイン」と書いてあります。他に、各社から発売されているドリンク剤もその殆どにカフェインを入れてあります。こうした飲み物を飲み、かつ運動不足があるとてきめんに寝つきが悪くなってしまいます。私事ですが、今でも鮮明に覚えている苦い経験があります。若いときに親友としたたかに飲んで帰り、寝る前にこれを飲んだら二日酔が防げるだろうと強力××なるドリンク剤を飲みました。ところがこのドリンク剤は二日酔予防どころか当日の晩に眼がさえてまるで眠れなくなってしまいました。翌日の惨状は皆さんの想像通りでひどい目に遭いました。いわゆる「二日酔に効く」ドリンク剤効果のかなりの部分が実はカフェインの覚醒作用だと気づいたのはその20年後くらいのことでした。

3)適度な運動をする
私の経験上、運動不足は明らかに不眠を増強させます。軽い疲労感を覚えるくらいの運動は間違いなく心地よい眠気を誘います。以前あるテレビ番組でやっていましたが、人間のバイオリズムで最も体温が高くなる時間帯があります。一般には午後から夕方に掛けて体温が最も高くなることが多いのですが、不眠の人はこの体温ピーク時間がかなりずれているそうです。このずれた体温ピークを是正するには、ピーク時間に合わせてウオーキングなどの適度な運動を行うことが効果的です。今は、数秒で鼓膜表面の体温を測る便利な体温計も比較的安価に売られる時代ですので、一日の内の何回も体温を測ってピークに合わせて運動することも容易でしょう。一度試してみる価値は絶対にあります。

以上生理学的な根拠のあることと経験上有効な方法を混ぜて書きましたが、873匹目の羊を数え終わったにもかかわらず眠れぬ夜をパソコン画面を見ながら過ごしている貴方へ、私はもう眠くなりましたので「おやすみなさい」。

copyright Tadashi Kashimada、update 2010/9/6

BACK